ごく普通の市民はロミオとジュリエットの夢を見るか?

バレエ3連発の2発目。今日は、クレムリン宮殿 Государственный Кремлевский Дворецで、ロミオとジュリエット Ромео и Джульеттаを観てきました。1階席23列目(真ん中の方)で250ルーブル(約1000円)。まぁまぁ安い値段。というか、「ジュリエット」をロシア語に訳す際は、無理やり女性名詞にするんですね、最後にаを付けたりして。(ジュリエットの英語名はJulietです)

これはかなり有名なバレエですが、1925年の初演の際は、特にバレリーナから不評を買ったそうです。それもそのはず、音楽自体、バレエの動きにすごく合わせずらいものだと言うことは素人の僕でも感じられるほど。一緒に行った元吹奏楽部の友人も同じようなことを話していました。


バレエ自体は、全体的にすごく地味な印象。一幕目は動きもあり、転換もメリハリがあって良かったのですが、二幕目は動きも少なく、あまりバレエっぽくない音楽と相まって、だるく感じました。本当にこじんまりとまとまってしまい、バレエを観た!という感銘は受けませんでした。


こんな印象を受けたのは、バレエや音楽云々ではなく、観ていた途中にかなり雑念が混じってしまったからかもしれません。どんな雑念かと言うと、俺はこんなバレエを観て、いったい何がしたいのだろう、そして自分の人生に何か深い関わりがあるのか、ということ。


こんなことを思ったのは、一幕目、絢爛豪華なおめかしをした貴族が集まる舞踏会のシーン。この舞踏会で初めてロミオとジュリエットは出会います。敵対する貴族の家系の子供どうしの運命的な出会い、そして二人にスポットライトが当たってお互いに一目ぼれ。そして踊る二人、これから待つ運命など知らずに…。


これを観て思いました。自分はこんな、文字通り小説の中のような出会いなど経験していない、そしてこれからそんな夢物語を抱いて今日を生きるわけにはいかない、ましてや貴族の集まる舞踏会など、今も形を変えて存在しているけど、でも一般市民の自分がそんな所に足を運ぶことはないだろう。


そんな自分が、なんでこんなお芝居を見ているのか? しかも何回も。経験できないからこそ、バレエの中へ、非現実の中へ求める? でも、そんなことをした所で、どうなる? 自分の人生に、何か縁があるというのか?


こんな雑念が始終頭から離れませんでした。こんなことは、もうすでに何十回も考えたことではありますが。