全ロシア展覧会場

その博物館のすぐ近くには、全ロシア展覧会センターВсероссийский Выставочный Центрがあるので、そっちにも行きました。ソ連時代には国民経済達成博覧会Выставка Достижений Народного Хозяйства、略してВДНХ(ベーデーエヌハー)。入場料は不要。
僕が大学1年のころに使っていたロシア語の教科書に、そのВДНХに関する文章があります。この教科書、1976年の発行なのでソ連時代の名残を見ることができ参考になります。そこから一部抜粋。

昨日、おじいちゃんとマーシャは、国民経済達成博覧会へ行きました。おじいちゃんはもう以前にここに来たことがありますが、マーシャは初めてです。
(中略)
「どの展示が特に気に入りましたか?」
「美しい『宇宙』パビリオンです。他にも、ソ連アカデミー学院もとても気にいりました。…ここの展示はとてもおもしろく、有益だと思います。ここでは工業、科学、農業、文化といったものの成果を知ることができますからね。」

この文章からわかるように、ここは家族や友人で連れたってくる場所であること、そして社会主義経済の宣伝会場として使われていたことがわかります。当時、具体的にどんな展示があったかはわかりませんが、とりあえずソ連経済はうまくいってるぞ、ということをアピールする場所であったことは間違いないようです。

超広い敷地内に、ソ連時代を思わせる建築様式の白塗りの建物がいくつも点在しています。その建物の中に、かつてはソ連経済の成果のものが並び、そして現在では電化製品や雑貨、衣類などを扱う商店がならぶ、市場のようなものになっています。


実際に着いてみると。建物はいくつもありますが、だからといって窮屈な敷地ではありませんでした。道は広くとられ、屋台が点在、真ん中あたりにはスケートリンク、端っこには観覧車と、まるで遊園地にいるような感覚。あまりに広いので、会場内を走るバスがあるくらいです。


ですが、ソ連時代に建てられたであろう建物群は、全く美を感じさせるものではありませんでした。いろんな種類の建物があるのですが、どれもなんかゴテゴテしてて、白塗りで安っぽい高級感を出しているのが哀愁を誘います。お金もかかっているでしょうし、大きくて立派な外見ではありますが、設計者の趣味を疑わざるをえません。無愛想なコンクリートビルの方がまだマシです。


もっと酷いのはその中。どの建物もなんか臭いし、暗いし。外見はお金をかけているのがわかりますが、中はほんと適当に、安っぽく仕上げたのかがわかります。外は立派だが中身なし。ソ連経済を象徴しているとまでは言いませんが、これらの建物を仕上げた当時、国にガタが来ていたのは容易に想像できました。


ついでに言うと、店で売っているものも安っぽかったです。


かなりこきおろしましたが、でもいいところを挙げると、ソ連時代を少し感じられた気がしたこと、かな。それに、散歩していて飽きません。栄光ソ連の建造物の野外博物館と考えれば、なかなか楽しませてくれる「観光地」だと思います。