宇宙飛行学記念博物館

ロシア語学習者のバイブルともいえる、研究社 露和辞典のまえがきには、こんなことが書いてあります。

1957年10月人類初の人工衛星スプートニク」1号がソ連の手によって打ち上げられ、さらに61年にはガガーリン少佐が「ボストーク」1号で人類初の宇宙飛行を行い、世界の耳目を集めた。この二つの出来事はソ連の科学技術・宇宙技術のレベルの高さを物語るものであった。
わが国においてもその頃から「ロシア語」ブームが到来、とりわけ理工系の学部のある大学でロシア語教育が盛んになった。…

多くの大学の第二外国語からロシア語が外されつつある現在、当時のロシア語ブームなんて全く想像がつきませんが、まがりなりにもそんなブームを作り出したというソ連宇宙開発。かつてはアメリカと宇宙開発を競うだけの実力を持っていたそうですが、その輝かしき時代を今に伝える博物館があります。それは、宇宙飛行学記念博物館Мемориальный Музей Космонавтики。本日、その博物館に行ってきました。

最寄り駅を出てしばらく歩くと、天に突き刺さっているような、ロケットを先端に据え付け、銀色に光る細くて長いオベリスクが見えます。この根元が博物館です。入場料は学割で10ルーブル(約40円)。


遠くからでも目立つオベリスクとは対照的に、展示は広めの部屋が一室だけという小規模なもの。やや照明を落として宇宙のような雰囲気を醸し出しているその一室には、人工衛星や宇宙服(犬の宇宙服も)、宇宙船の模型や工具、そして宇宙開発を宣伝する彫刻など、宇宙開発に関するさまざまなものが展示してありました。


さまざまなものといっても、ほとんどそれだけ。一室だけ。宇宙開発関係の展示、はっきり言って物足りなかったです。


ソ連の宇宙開発の規模を考えたら、もっと展示があってもいいんじゃないか、とも思いました。展示も、ほとんどがソ連時代のもの。最近になって展示されたものといえば宇宙飛行士の孫の写真など、どうでもいいようなもの。現在のロシアの宇宙開発レベルも決して低くはないと思うのですが、この博物館自身が、現況の宇宙開発の斜陽を物語っているようでなんだか悲しくなりました。


でも、ちょっと面白いものがお土産コーナーにありました。それは、実際の宇宙食。宇宙に持っていっても食べられるそうです。近くに張ってあった解説文によると、「アメリカの宇宙飛行士も認めたロシアの宇宙食!この食事が世界の宇宙開発を支えました。どうぞお召し上がりください」なーんて書いてありました。そこまで言われたからには試さないわけにはいかない。その中のひとつ、宇宙チョコレートを買ってみました。ホントはいろいろ買いたかったのですが、何しろ高くて。このチョコレートも50グラムで180ルーブル(約720円)もしました。


このチョコレート、真空パックになっていて保存性は抜群。製造から2年もつそうです。家へ帰ってから賞味してみたのですが、粉っぽいこと以外は普通のチョコ味。甘くて、意外と美味しかったです。でも、ネタになるような味ではなくて残念でした。今度は、一番イヤな予感がした、怪しいチューブ入りジュースを試してみたいと思います。まるで巨大歯磨き粉みたいです。