国立歴史博物館

本日は、国立歴史博物館Государственный Исторический Музейです。この博物館は、モスクワでクレムリンに続く観光の地、赤の広場にあり、チョコレート色のお城みたいな大きい建物があったら、それがこの博物館です。一般で150ルーブル(約600円)、学割で75ルーブル(約300円)…のハズですが、どういうわけだか学割30ルーブル(約120円)で入場できちゃいました。まぁいいや。

展示対象はロシア革命以前(ロシア革命以降の歴史博物館は、近代史博物館)。赤の広場というモスクワの顔とも言える場所に位置しているためロシアの威信をかけて収集したんでしょう、その展示数は半端ないです。土器など一般の生活道具、石碑、鎧や剣といった貴族の持ち物から、エカテリーナ2世の手袋、などなど。また、展示室もテーマ別に分かれているので無秩序という印象はあまりありません。

地球の歩き方」によると、30万点以上の展示品があるとか。とにかく、見応えがあります。僕は3時間ほどかけました。

歴史というか考古学の範疇であろう紀元前の人類の起こりから、19世紀の専制政治あたりまでが時系列順に展示されています。中世まであたりはロシアだけでなく、中国や西欧の出土品なども目についたので、ユーラシア大陸全土までもカバーしているようです。


特に面白かったのは、紀元前のコーナー。黒曜石の矢じりやマンモスの歯といったものにまじり、たまにミイラ化?した人間の身体(おそらく本物)が何の気なしに置かれているのです。ちょっとドキリとしますが、でもなかなかリアルで、しばらく彼(彼女?)と無言の会話を交わしてしまいます。


ちょっと疑問に思ったのは、10世紀半ば、キリスト教がロシアに入ってきたときの資料が少なかったこと。まぁソ連時代に、ソビエト政権が宗教関係の資料を本気で集めるとは思えないし、むしろ燃やしてしまったりしたのかもしれない。もちろん今はソ連はないから状況も違うだろうし、イコンなどキリスト教関係の資料がないわけではないけれど、展示品の「選択」というのは確実に行われたな(そして今もある程度は)、と思いました。(ソ連時代、「宗教は麻薬だ」として、特にスターリンのときは教会をぶっ壊す、ってことすら普通に行われていました)


展示の解説は全てロシア語ですが、音声解説のテープが有料で貸し出されています。その言語はロシア語だけでなく、英語やフランス語、ドイツ語、スペイン語、そしてなんと日本語まであり、ロシア語がわからない人でも気軽に足を運べるでしょう。


それでもある程度はロシアの歴史について知っておくと、広い視野で展示品を眺められるでしょう。また、展示品の数も半端ないので、時間があれば2回、3回に分けて訪ねるといいかもしれません。なかなか楽しい博物館です。