文学博物館

そのあと、モスクワにあるドストエフスキー文学博物館Музей-Квартира Ф.М.Достоевского в Москвеに行ってきました。ドストエフスキーが生まれ育った家を改築した博物館です。隣には作家の父が働いていた病院があり、その庭には作家の銅像も建っています。

彼らは上流階級の出ではないのですが、そのことはその博物館の規模から容易に納得できました。まぁ一般的な家よりはだいぶ広いのでしょうが、ほんとに小さい博物館。小さいだけでなく、お客も僕一人だけ!博物館のドアには鍵がかかっており、誰か客が来たらブザーをならしてもらい、それから係員が迎えにいくという、博物館ではなく、まるでちょっと近所のお家のコレクションを見せてもらうといった雰囲気です。


そんな小規模のため、また作家自身、16歳でモスクワを離れてからはほとんどモスクワに戻らなかったため、さらに彼の作品でもモスクワを舞台にしたものは(確か)なかったので、ここに多くの資料を集めることはなかったようです。はっきり言ってコレクションは貧弱で、30分もあればだいたい回ることができます。彼に関する資料なら、サンクトペテルブルグにあるドストエフスキー文学博物館に多く集まっているのでしょう。ここにそういうものを期待していくとガッカリします。


ただ、幼少時代のドストエフスキーに関する資料にはなかなか面白いものがありました。小さいころに遊んだカードや、一家の団欒の間の再現があったりしてどんな様子であったのか想像してしまいます。また、ロシアの博物館にしては珍しく解説文のほとんどに英語訳がついていました。お客は少ないにも関わらず、そういう心遣いがニクイ。学割で25ルーブル(約100円)。


ちなみにこの博物館、その名も「ドストエフスキー通り」に面しているのですが、その名の通り(?)落ち着いた雰囲気で、鳥のさえずりまで聞こえてきました。隣が大規模な病院(跡?)とその庭だということもあり、とっても開放的な場所です。