世界の最果て ムールマンスク①

ムールマンスクへ出発。正確には、27日00時30分モスクワ発ムールマンスク行きです。
切符はこれで正しいか、ホテルはちゃんと予約できてるか。

不安をやや抱きながら、同行の札幌大学の友人Mと定刻近くまで駅の待合所で時間をボーッとつぶします。「ムールマンスク行き列車の乗客は○番線へ」というアナウンスが入り、早速プラットホームへ。

ロシアの長距離鉄道の乗り方は、やや日本のそれとは異なります。プラットホームへは、たとえ切符を持っていなくとも入場することができます。そのため、ホームには見送りや迎えの人、そして食料品などを売るおばさん、そしてタクシーの勧誘といった人々で、とても賑やかな雰囲気です。乗客はいつ切符を見せるかというと、乗車時。列車の扉に車掌がいるので彼らに切符、そしてパスポートを見せてから乗り込むのです。

今回も、切符に記載されているワゴン番号の扉付近に並び、車掌に切符を見せ、無事に乗車。これから、モスクワからムールマンスクへ、38時間の、長い長い旅行です。


列車は寝台になっているのですが、2段ベッドが向かい合わせに2つ、ベッド計4つでひとつの部屋になっています。ベッドが4つある部屋といっても、中はひどく狭い。ベッドも狭いのですが、2段ベッドの間隔も、ベッドから手を伸ばせば余裕で届く、という距離です。


列車の切符でベッドも指定されているのですが、今回、僕は2段ベッドの上段。Mも、同じ部屋の向かいのベッドの上段ベッド。で、同室になったのは誰かというと、ロシア人のおばあちゃんと、その孫娘、15歳の可愛らしい女の子。女の子のお父さんが、ムールマンスクにいるらしく、今回のムールマンスク行きは里帰りらしいです。


とまあ、挨拶をすませ、列車も動き出したし、さて寝るかと思っていると、車掌さんが何か持って部屋へやってきます。なんだろう。受け取ると、なんとお弁当!機内食サービスは予想だにしなかったので嬉しかったのですが、弁当をよく見ると、こってりした、いかにもロシア人が好きそうな重いものばっか!サラミ、チーズ、パン、りんごジュース、コーヒー、ケーキ、そしてチョコレート。夜も更けてきたというのに、ロシア人はこんな重いもの食べるんだなぁ。自分だったらこんな食べられないよ、と感心していると、同室の女の子は、10分くらいで全部平らげてしまいました。お腹がすいてたのでしょうが、それでも見事な食べっぷりでした。

明日の朝ごはんにと思い、僕は半分ほど残しておきました。
で、支度をして、落下防止の柵すらない上段ベッドに身を横たえます。さぁ、長い旅行が始まる。