帰国の様子

自分ではそんなに疲れているとは思わなかったが、今日は午後3時近くまでずっと寝ていた。正直、まだ寝たりない。
でも寝ていても仕方ないので、このブログで帰国前後の様子を報告します。
6月21日
14時、空港へ向かうタクシーが来る。隣人や友人の見送りを受け、寮を出発。

ロシア語の看板、露店、路面電車…最後のモスクワの街並みは、以外にも自分の胸に感極まるものを呼び起こすことはなかった。それがいつも見る風景、いつも通る道だからだ。もうすぐ帰国だぞ、と自分に言い聞かせても、涙ひとつ出ない。


1時間半ほど経つと、シェレメチェボ第二国際空港に到着。もうここから街に引き返すことはない。


搭乗手続きまでは2時間ほどある。だからといって何をするわけでもなく、ただボーっと座っていた。


落ち着きをなくした人がよくそうするように、空港では特に深い理由もなく忙しくしていた。備え付けのテレビから流れるCMを暗記してやろうとして眺めたり、自分の荷物から文庫本を引っ張り出して2ページほど読んだらしまったり、売店に行っては空港特有の値上がりに閉口して何も買わずに出てきたり。手持ち無沙汰、とはまさしくこのことかもしれない。そういったことに疲れて、大人しくベンチに座ってもソワソワ。


搭乗手続き1時間ほど前になると、同じ寮に住む友人2人が見送りにきてくれた。これで少しは自分も落ち着くだろう。


彼らと話をしたりしてすごす。この2人はあと半年以上はロシアにいる。いろいろお世話になったので、離れるのは寂しいものだ。


搭乗手続きの時間が来た。2人に別れを告げ、カウンターへ。


搭乗券を見せる。スーツケースと機内持ち込みの手荷物の重さを計らされる(スーツケースは20キロまで、機内持ち込み手荷物は5キロまで。それ以上は罰金の対象となる)。スーツケースは問題なかったが、手荷物の方で、重量制限をオーバーしてしまった。手荷物の重さはそんなに厳しくないと聞いていたので、思いっきり荷物を詰め込んだのがいけなかったのだ。罰金を払えといわれる。


いくら払えばいいのかと聞くと6000ルーブル(約2万4000円)だなどと言う。そんなに払えるか、そもそもそんなに金はない、と言うと、じゃあ手持ちの金でいい、という。いい加減だな。


その後は問題なくスムーズだった。出国審査も問題なし。飛行機へ搭乗を待つのみだ。


搭乗手続きも出国審査の終わったこの間も、「待つ」というのは意外と辛いものだった。普段であったら本でも読んだり音楽でも聴いたりして時間を潰せばいいのだが、何をする気も起きない。ただ早く飛行機に乗せてくれ、とだけ思った。自分がボーっとしていて飛行機を逃したりしたらシャレにならないので、飛行機に乗らないうちは安心できない。乗ってしまえば、あとは飛行機が落ちようがハイジャックに遭おうが、自分の力ではどうしようもない。しかし乗るまでは安心できない。だからとりあえず飛行機に早く乗せてくれ。


ようやく機内に乗り込む。乗客の数はそんなに多くなく、座席数のざっと3分の2が埋まっていた程度であった。


幸いにも、隣のシートには誰も来なかったので、荷物置き場にさせてもらった。


40分くらいすると、ようやく飛行機が助走を開始。座席の背もたれが重力を持ったように、体全体が強く横に押さえつけられる。しばらくすると、肩が非常に重く感じられる。飛行機がもちあがって離陸が始まったのだ。


窓際から見える地上が、目に焼き付けられる最後のロシアの風景。さようなら。