母校がパロディ化されるということ

「ロシアで東京外国語大学をパロディにした小説が売られている。そして、どうやらなかなか刺激的な内容らしい」。

あるブログ(こちら)でこんな情報を得た僕は、早速書店へ向かい購入してみました。210ルーブル也(約840円)。

題名は「日本の夜 Японские Ночи」。作者はイーゴリ・クライ Игорь Курай(=空雷、と読ませたいらしい)とありますが、おそらくペンネームでしょう。しかしどんな人物が書いたのかは、ロシアでもまだ明らかになっていないらしいです。

どうしてこれが東京外大のパロディとわかるかというと、舞台が「東京国際関係大学 Токийский Университет Внешних Сношений」、略して「カイダイ Кайдай」という架空の大学に設定されてはいますが、名前や略称からパロディだということは想像できます。東京外国語大学 Токийский Университет Иностранных Языков、略して外大 Гайдайと比べてみるとわかりやすいですね。


さらに、この本を紹介したブログによると、「日本のロシア語学界に身を置くものならば、これが東京外大で教えていたロシアのキワモノ作家ソローキンをパロディーにしたものだとすぐ分かる」らしいです。そう、この本の主人公は「カイダイ」にロシア語教師として赴任したロシア人作家のフセヴォロドなる人物です。そして彼の周りには日本人教員「ミヤマ・クズオ」を始めとする面々が登場します。


内容はというと、4つの中短編が収められており、それぞれ「軽井沢での夜 Вечер в Каруидзаве」「神々の集まり(?) Лики богов」「盆栽 Бонсай」「伊豆のサファリ Сафари на Идзу」と題され、それぞれがロシア人教員の「驚いたこと」などが描かれているそうです。

手始めに、ちょっと「軽井沢の夜」、僕が読んだ前半部分を抜粋します。

「私たちのところでは、オリエンテーションと呼んでいます。まぁ、ロシア語学習者になる、個人的な式典みたいなものですよ。」と、ミヤマは説明した。
(…)
「じゃあ、いったい何をするのでしょうか? ロシアについて、ロシア文化について何か放すのでしょうか?」フセヴォロドは尋ねた。
(…)
「それが主な目的ではありません。教師と新しい学生が、なじみになるためです。互いのことをもっとよく知るために。(…)学生と教師は、一つのグループにならなければならないのです。」
「踊ったりするのですか?」
「いえ、しません。学生たちはとっても謙虚です。もうお気づきでしょうが、授業中もほとんど質問に答えません。怖がっているのです。そちらのモスクワの学生と比較すると、まだ赤ちゃんです。(…)」

こんな感じです。早速、学生が斬られてしまいましたね。

因みにこのオリエンテーション、小説の中だけでなくリアル外大にもあり、ここで描かれているように入学したてのロシア語専攻の1年生と教員が参加する懇親会、まぁ遠足のような位置付けです。作中でミヤマ氏の説明していることもだいたい当たっており、ロシアについての集中講義というよりはむしろ、学生同士そして教師と学生の交流を目的としています。僕も入学したばかりの3年前は参加しました。何をしたかはあまり覚えていませんが、とりあえず食って遊んだことしか覚えていませんw

とりあえず、頑張って読みきってみたいと思います。