白鳥の湖

予告通り、バレエ「白鳥の湖Лебединое Озеро」を観に行ってきました。場所は、前回も足を運んだクレムリン宮殿Государственный Кремлевский Дворецです。公演は専属のバレエ団。白鳥の湖、作曲はチャイコフスキーП.И.Чайковский、振付はイワノフЛ.ИвановとプティパМ.Петипа。

白鳥の湖」の初演は1877年ボリショイ劇場で行われましたが、その際の振付が「あまりにも酷かったため」すぐに演目から消えてしまったそうです。しかし、イワノフやプティパによって演出しなおされ、再び演目に上がったのは1895年、初演から18年も後のことでした。(地球の歩き方より)


友達と行ったのですが、劇場では観光客と思しき外国人がけっこういました。英語やフランス語の会話が聞こえてきましたし、それに黒人や韓国人、中国人、そして僕らの他にも日本人の姿がありました。


そしてリバイバル初演から111年後の本日、この演目を見ての感想。


バレエらしいバレエだな、と思いました。バレエといったら白鳥の湖、というイメージがありますが、まさにその通り。振付も衣装も、これぞ本家バレエ、という凄みを見せてくれたと思います。


演技を見ていて気づいたのは、今までに見たバレエと比べても、踊りと音楽との一致をかなり意識していたのではないか、ということ。なんというか、動きと音が同じタイミングというか、ユニゾンしているというか。うまくは言えませんが。


気になったのは、本来は脇役なのに、主役二人を食って目立ちすぎた役があったこと。主役の王子のお城の宮中道化の役がそうだったのですが、おそらく相当難しいであろう踊りを惜しげもなく披露していました。それはそれでいいんですが、バランスがかなり崩れた印象を受けました。あと気になったのは、前に座っていた男性の背が高く、ジャマだったこと。見えにくかったです、すごく。


この「白鳥の湖」、実は結末が二通りあるのです。一つは、王女オデットは悪魔の呪いが解けず、白鳥から人間に戻ることができずに絶望、王子と湖に飛び込んで心中する、という悲劇的なもの(二人は来世で結ばれた、とのフォローがあるにはありますが…)。もう一つは、「愛の力で」(書いてて歯が浮く!)悪魔の呪いは解けて、オデットはもとの乙女に戻り、王子と幸せに暮らしましたとさ、というハッピーエンドなもの。


どうして二通りもあるのでしょうか。


それは、原作を捻じ曲げたため。実は、もともとの原作の結末は前者の悲劇、つまり心中エンドです。それを、未来志向が強いソ連時代において結末を「希望を持てるようにしなきゃいかん」とのことでハッピーエンドに書き換えられたそうです。原作の書き換えは、どうかと思いますが。


ちなみに、今回の公演は、後者つまりハッピーエンド。最後は王子と王女が笑顔で固く抱き合っていました。まぁその後ろには、呪いが未だ解けずにいた白鳥姿の乙女たちがいたわけですが。


さて、あさってにはまた、「白鳥の湖」を観に行きます。場所はボリショイ劇場。今回のと演技や演出の比較はもちろん、どのような結末になるのか、興味深いところです。