ボリショイ劇場「ファラオの娘」

今日は、Болшой Театр России в Государстенном Кремлевском Дворце…つまり、クレムリン宮殿での公演の、ボリショイ劇場のバレエを観に行きました。演目はファラオの娘Дочь Фараона(原題 La Fille Du Pharaon)。曲・プーニЦ.Пуни、振付・ラコッタП.Лакотта。

このファラオの娘。日本では、おそらく「くるみ割り人形」や「白鳥の湖」ほど有名なバレエの作品ではないと思いますが(僕が不勉強なだけ?)、その2点を始めとする多くのバレエの振付を担当した、フランス出身の振付師プティパの出世作とも言える作品だそうです。このファラオの娘こそ現在ではラコッタの振付が一般的なようですが、プティパの振付は「くるみ割り人形」など今でも多くの作品に残っており、彼はロシアバレエの一潮流を形成したのです。


さて、綺麗で超広いホール内に入り、座っていると、隣にアジア系の顔立ちをした中年女性3人組み。どうやら、カザフスタン出身、今はモスクワ在住だそうです。でも、もとは、北朝鮮出身とのこと。彼女たちの両親たちが昔、北朝鮮から来たのだそうです。そのため、韓国語も「汚い発音だけど」話せるそうです。ちょっとびっくり。


公演を終えて。


舞台がエジプトという設定だけあって、今まで観たバレエより異質な感じを受けました。衣装や振付、セットなどの点で、「これぞエジプト」的な雰囲気を醸し出しており、不思議な印象でした。悪く言えばすっごくステレオタイプでしたが、わかりやすい。


主役の男女二人の動きは、「くるみ割り人形」とは異なり、興味深いものがありました。特に女性。王女だけあって、こちらの方が力強い、かつ上品で大人な雰囲気を出していたように思います。(「くるみ割り」は、可愛らしい、女の子らしい感じ)。どちらが気にいったとかではなく、ダンサーがそういう意識をして演技をいるのが感じられました。


また、「ファラオ」つまり王様が出て来たりするのですが、そのシーンでは、家来役のかなり多くの踊り子たちが舞台狭しと駆け巡り、あたかもマスゲームのような舞台。圧倒されてしまいます。


ただ、人数が多くなる分、それだけ粗も多少目立ちやすくなる、というのが顕著に現れました。あ、あの人ちょっと遅れてる、あの人はあんまり足が上がってないな、とか。全体として観た場合、そのような欠点を感じさせないほど魅せる力はあるのですが、やはり気になる点は出てしまう、と感じました。


ところで、この「ファラオの娘」も「くるみ割り」も、物語の流れは主人公の「夢(妄想)」。「くるみ割り」は、ある女の子が、カッコいい王子に変身した人形と不思議な国へと誘われる、という夢を見たというお話。この「ファラオの娘」に至っては、アヘンを吸って(!)イっちゃった(!)エジプト旅行中のイギリス人の男が、ファラオ王の娘(美人)と恋のアバンチュール、の幻覚を見た、という筋書き。このような話はおとぎ話の範囲を出ませんが、こんな夢、一度でいいから見てみたいものですね。妄想なら得意なのですが、今日夢で見たのといったら、恐ろしいロシア人になぜか怒られている自分。誰か夢の国のアバンチュールに連れていってください。