世界の最果て ムールマンスク④

今日から行動開始です。まず、昼間にオーロラ観測ポイントを探します。で、目をつけたのが「緑の岬Зелёный Мыс」という、市外の北に位置する丘。トロリーバスにごとごと揺られ20分ほどの停車場で降り、そこからさらに徒歩。目指す先は、「アリョーシャ」という高さ40メートルの像。

バス停を降り、雪の深い、起伏のある丘を突っ切ります。雪の上を進むのですが、雪が邪魔で、さらに上り坂もあるので非常に疲れます。


へとへとになりながら、なんとかアリョーシャ像にたどり着きます。高さ40メートルだけあって、近くに来すぎると像の顔の辺りは全く見えません。地球の歩き方によると、この像は第二次世界大戦中(ロシアでは大祖国戦争と呼ぶ)に北極圏を守ったソ連軍兵士を記念して1972年に作られた像だそうです。なるほど像の足元には、「戦死した無名のソ連兵士に捧げる」との記念碑があり、その側にはモスクワの無名戦士の墓よろしく、強風にも関わらず火が消えることなく灯り、花束もいくつか供えられてありました。


そのアリョーシャ像付近から見える風景は、開放感たっぷりで気持ちのよいものです。ある方向にはマンション群、ある方向には市街地、そしてある方向には港が一望できます。船やら機械やらが動いている様子が、はるか遠く眼下に見ることができます。派手なネオンや、飲み込まれるような自然の景色は見えませんが、このようなひらけた景色を見るのは、ロシアに来て初めてです。ホテルから少し遠いですが、オーロラ観測にはもってこいのロケーション。


夜。Mと共に、オーロラを求めて、雪をかぶったこのアリョーシャ像へと向かいます。服装は万全、バスに乗り、歩きやすい道を見つけたのでそこを通りアリョーシャ像付近まで行きます。


市街地より少し標高が高いため、気温も多少下がり、また開けた場所のため吹き付ける風も手伝って、相当寒いです。服装は最大限の努力を払ったのですが、寒いものは寒い。実際はどうかわかりませんが、体感温度はマイナス15℃以上のように感じられます。街灯もなく、暗闇の中、がたがた震えながら像の付近でうろうろする二人組み。周りには誰もいない。とっても怪しいです。

…。
…。
寒い…。
…。
残念ながら、この日は見ることができませんでした。オーロラみたいな微妙に光った小さな雲はあったのですが、「オーロラはあんなにしょぼくない」というMの一言で納得。
また、市内には工場か焼却場か、常に煙をもくもくと出していた煙突があったので、それも多少ジャマになってました。

外での観測は、どんなに厚着をしていてもせいぜい2時間が限界。Mは「朝まで、6時間くらいいよう」と言ってましたが、それは無理な相談というものです。

震えながらホテルへ帰還。果たしてオーロラは見えるのか、この旅行の目的は果たせるのか、という疑問が頭をよぎる。