とっても気をつけましょう

今日はロシアに来て以来最大の、そして21年歩んできた人生の中でもおそらく五本の指に入るであろう、不快な出来事がありました。思い出すのもイヤな気になりますし、心配でもさせてしまったら悪いので書こうかどうしようかちょっと迷いましたが、記録として残しておきます。

まず本日は午後から、先週来たばかりの同じ大学の友人Fを連れ、「ロシアのアキバ」ガルブーシカに一緒に行きました。今回の僕のお目当ては、パソコンに繋げるコントローラー。ロシアに来てまで何をやってるんだという感じですが。それに対し、友人のFはロシア古典映画のDVDに興味深々の様子。結局、彼はお目当てだったパソコンに繋げるイヤホンと、衝動買いの映画DVD「犬を連れた奥さん」(原作・チェーホフ)を300ルーブル(約1200円)でお買い上げ。二人の同窓生、かたやゲームの器具、かたやロシア映画の名作を購入…。何か彼は偉いなと感心しました。ここまでは何事も起こらず。


そのあとは、前々からチケットを買ってあった、マールィ劇場 Малый Театрの「桜の園 Вишнёвый сад」です。友人と一緒に意気揚々と劇場に向かいますが、劇場入り口付近に掲げられていたのは次の文章。
「本日、『桜の園』の公演は、技術的な問題により、中止の運びとなりました。申し訳ございません。」
中止になったことより、「技術的な問題」って何なのかがものすごく気になる。
とりあえず、窓口に行ってチケットを払い戻してもらいました。ここで、受付の女おばちゃんが「本当にごめんなさいね…」なんて言っていたのが印象的。まともに謝ってくれるとは思っていませんでした。公演が中止になったのは残念ですが、まぁ仕方ない。おばちゃんも謝ってたし。ここまでも何事も起こらず。

で、問題はここから。


劇も中止になっちゃったし、どうするか。俺買いたい本あるから、本屋行こうよと言って、彼と一緒に地下鉄に乗ったのですが…。


車両の中、二人組の男が彼に話しかけてきました。ごくごく普通の若者、といった体裁。

「どこから来たんだい?」
日本だよ。
「日本か。俺は空手をやっているんだ。見せてやろうか?」
結構だよ。


そのあと、なんと、二人組の一人は彼に殴りかかりもう一人は僕に頭突きしてきたのです。


電車が駅に着き、車両のドアが開くと彼らは逃げるようにして降りていきました。


僕はほとんど痛くなかったのですが、友人は顔をやられ、少し目が腫れた感じになってしまいました。


貴重品が取られなかった、そして二人組もすぐに逃げたのは不幸中の幸い。


しかし、彼は肉体的なしばらく痛みが引きませんでしたし、精神的にも、彼も僕も何かすごいイヤな思いをしました。ましてや、その彼はモスクワに来て1週間。来て早々、彼がこんなことになってしまったのは、8ヶ月モスクワにいる自分が車両の乗客に注意を払っていなかったためだとも思っています…。


確かに、自分はモスクワに慣れてきた、と思っていたフシがあった。でも8ヶ月いたって外国人は外国人だし、何年、何十年住んでいたって、その国に馴染める、なんてありえないはずだ。外見に限らず、一挙一動が外国人であるということは逃れられない。ロシアに限らず、これから他の国に行くこともあるだろうけど、「外国人」であるということを自覚して行動していこうと強く感じました。


そして、「あくまで研究対象、ロシアは好きにも嫌いにもなるまい」と思ってましたが、嫌いになりそうです。こんな愚行を行動に移す一部の人間のせいで印象を悪くするのは、大部分の「善良な」(そう願わずにいられるでしょうか)ロシア人に対して失礼な、誤った解釈だと思いますし、彼ら(外国人排斥主義者)の思うツボなのでできれば避けたいところ。でも、当面は「ロシア? ひどいね」って言わせてください。


こういった、いきなり殴られる系を避けるためには、気をつける以外に運の要素も強いでしょう。僕は8ヶ月いて初めてこのような仕打ちを受けましたが、その友人は来て1週間。でも5年間いる先輩方も、された人もいればされていない人もいる。1年間の留学だと、されないで帰国、ていう人が多いと思います。


あとで聞いた話ですが、この日はサッカーの試合があって、一部の興奮したサポーターが街に出る、らしかったのです。彼らもそうだったかも。ヒトラーの誕生日が近いことも原因かな。


まぁ、これからロシアに来ようと思っている人たちは、暴力・窃盗系にはホントに気をつけてください。日本人は、スキが多すぎということで有名だそうです。特に団体でいると。気をつけてください。運の要素も強いとはいえ、注意できる点はしておきたいもの。気を抜いて痛い目に遭った日本人からのお願いです。


まぁ、あれです。その俺らを殴った二人組みは、…ネット上で言うのは控えますw