ジョー!

おいおい、冗談はよしてくれ、ジョー。

君はいいルームメイトだ。
俺の卓上ランプが壊れてるときには、笑顔で「使えよ」と、君のを貸してくれたっけな。それに、俺のつたない英語をなんとか理解しようとしてくれたな。英語もゆっくり話してくれた。そうだろう、ジョー?
でも、本当に残念だ。いや、信じられないさ。冷蔵庫にあった俺のベーコンを勝手に食べてしまったなんて。いや、何回数えても、1枚減ってるんだ。朝、俺が1枚使って5枚になった。でも今は4枚しかない。しかもベーコンの場所も移動してるのさ。

この冷蔵庫を使えるのは、俺と君だけだ。
俺でなかったら、君しか食べた人はいない。そうだろう、ジョー?
いや、これは量云々の問題じゃないのさ、わかってくれるだろう?縁あって共同生活をしてるんだ、気分の悪くなることはお互い、しない。そうだろう、ジョー?君は毎晩のようにどこかで飲んでるみたいだが、そんな君が一枚のベーコンすら買えないくらい、お金がないということもないだろう、どうしてだい、ジョー?

え、友達を部屋に呼んだとき、その友達が知らずに食べちゃった、だって?
おいおい、なんだよ。君の友達かよ。頼むぜ。
いや、そんな笑顔で「ごめんネ」って謝られたらなあ。「次からちゃんと言っとくから!」って、そんな満面のアメリカンスマイルで誓われたらなあ。怒る気が失せたじゃないか、ジョー。なんか、俺は敗北感でいっぱいだぜ、ジョー。負けたよ。